2015年3月8日日曜日

宙玉レンズを手に入れました

今回はカメラ関連の話です。

昨年11月にリリースされた宙玉(そらたま)レンズの製品版「Soratama 72」ですが、先月秋葉原のヨドバシカメラに買いに行った時には在庫が無かったため、取り寄せて最近やっと手に入れました。

ここ1ヶ月くらい手に入りにくい状態が続いていたようです。

手に入れる前からうすうす感じていましたが、接写関連の機材を持っていないと上手く活用できない、なかなかのキワモノ商品でした。この手のキワモノは大好きですけど(笑)

さて「Soratama 72」ですが、フィルター径72mmのガラスフィルターの真ん中に直径20mm弱程度のガラス玉がはめ込まれています。

ガラス玉がフィルターの後ろ側(カメラボディ側)に大きく飛び出しているため、厚み20mmのスペーサーが付属されています。


ZENJIX Soratama 72 本体

前面側。レンズキャップをつけるとガラス玉に干渉するかも。

後ろ側は20mmのスペーサーが付いています。

このスペーサーをつけた状態で、通常のフィルターのようにレンズのフィルター枠に取り付けて使用しますが、このままですとレンズから近すぎてピントが合わない可能性が高いです。そのため別売りでエクステンションチューブも用意されています。

私はエクステンションチューブを購入せず、手持ちの機材であれこれやってみたのですが、なかなかセッティングが上手くいかず、ちょっと焦りました。

ポイントは二つですね。

1.画面上に球体の像をどのくらいの大きさ(割合)で写すか。
2.Soratama 72をどの程度レンズに近づけるか。


1.は撮影倍率の話になります。

たとえば10円玉(直径24mm弱)を接写して、35mmフルサイズ(36mm×24mm)のセンサーにぴったり収めた場合、撮影倍率はほぼ等倍(1:1)ということになります。

率が上がれば大きく、倍率が下がれば小さく写りますので、レンズの性能表を見れば、どのレンズが適しているか、ある程度推測することができます。

手元にあるSoratama 72のガラス玉は直径20mm弱程度のようですので、フルサイズのセンサーの場合、撮影倍率が等倍付近のレンズを用意すれば、球体の像の天地におよそ2mmずつ隙間ができて、宙に浮いた状態を表現できると思います。

なお、センサーサイズがフルサイズより小さい場合は注意が必要です。APS-Cサイズの場合は等倍のレンズですと、画面からはみ出してしまいますので、倍率は0.67倍程度が適していると思います。マイクロフォーサーズの場合0.5倍程度で、同様の割合にできると思います。(あくまでも計算値です。)


2.はレンズ先端から被写体までの距離・・・つまりワーキングディスタンスの話になります。

最短撮影距離とワーキングディスタンスを混同してしまいがちなのですが、最短撮影距離はフィルム面(つまりセンサー面)から被写体までの最短距離で、レンズ先端からの距離ではないので注意が必要です。

ワーキングディスタンスは、最短撮影距離からレンズの全長とフランジバック(センサー面からレンズマウント部分の距離)を引けば、おおよその値を求めることができます。

フランジバックはカメラのメーカーや機種によって異なりますので、ワーキングディスタンスの計算は意外と面倒です。

大雑把な話をしますと、マクロレンズのワーキングディスタンスは10cm弱から20cm程度が多いです。焦点距離が長いもの(つまり望遠マクロ)の方が、ワーキングディスタンスが長くなります。

先にご紹介した「Soratama 72」の別売エクステンションチューブは5mm、10mm、20mmの3つのサイズがセットになっているため、もともと付属している20mmのスペーサーと併用すると最長55mmになります。しかし55mm(5.5cm)にしたとしても、ほとんどのレンズにとっては、ワーキングディスタンスより近すぎてピントが合わない領域になります。

そのため「Soratama 72」をレンズからもっと離すか、ワーキングディスタンスを短くする施策が必要です。

Soratama 72」をもっと離す・・・
エクステンションチューブを足してSoratama 72」をもっと離せばピントを合わせられるはずです。しかしこの場合、エクステンションチューブを長くしすぎると画面に筒が写りこむ可能性があります。

ワーキングディスタンスをもっと短くする・・・
接写リング(中間リング)と呼ばれるものをレンズとカメラの間に入れることでワーキングディスタンスを短くすることができます。

ただし接写リングは、自動絞りに対応しているものと、そうでないものがあり、絞りリングが無いレンズの場合、組み合わせによっては絞りを調整できず、事実上使用不能になる可能性があるので、注意が必要です。

・・・長々書きましたが、簡単に言いますと、Soratama 72」を使いこなすためには、エクステンションチューブや接写リングが必要になり、大幅に出費が増える可能性があります(笑)。


私はニコンのマニュアルフォーカス用の接写リングを複数持っておりましたので、それらをいろいろ組み合わせて、下記のような構成に落ち着きました。

フルサイズ用セッティング
・Nikon オート接写リング PK-11A(8mm)+PK-13(27.5mm)
・NIkon 単焦点レンズ Ai Nikkor 35mm f/2.8
・Nikon 接写リング K4(10mm)+ K5(20mm)
・MARUMI ステップアップリング 52mm→72mm
・ZENJIX φ72mm 20mmスペーサー
・ZENJIX Soratama 72


レンズキャップは直接つけるとガラス玉に干渉しそう
でしたので、プロテクトフィルターもつけています。

今回、ニコンのKリングやPKリングという古いアクセサリーを使用しましたが、これらは最近のデジタル一眼レフを含むオートフォーカス時代のレンズやボディに取り付けると、電子接点を損傷する恐れがあります。ニコンユーザーの場合は、レンズとボディが適合するか、確認して使う必要があります。(詳しい説明は割愛します。)

あとマイクロフォーサーズでも使いたかったので、Kenkoのデジタル接写リングセットを買い足し、下記のようなセッティングにしました。

マイクロフォーサーズ用セッティング
・Kenko デジタル接写リング 10mm
・Panasonic ズームレンズ G VARIO 14-45mm(25mm付近)
・Nikon 接写リング K4(10mm)+ K5(20mm)
・MARUMI ステップアップリング 52mm→72mm
・ZENJIX φ72mm 20mmスペーサー
・ZENJIX Soratama 72

マイクロフォーサーズ用のレンズは絞りリングが無いものが多いのですが、この接写リングには電子接点があるため、絞りを電動で操作できて、非常に使い勝手が良いです。


Kenko デジタル接写リングセット(10mmと16mmのセット販売)

下記は、それぞれのセッティングで撮影したものです。

フルサイズにて撮影(画像は180度回転しています。)

マイクロフォーサーズにて撮影(画像は180度回転しています。)

ある程度絞り込まないと宙玉の輪郭がぼやけます。フルサイズよりマイクロフォーサーズの方が焦点距離が短く、被写界深度が深いため使い易いです。

最後にこの週末に撮った写真を数点載せておきます。


画像は180度回転しています。

180度回転せず。

180度回転せず。
そんなわけで宙玉レンズ面白いです!