2013年12月31日火曜日

12月、雲取山(一泊二日、テント泊)

2013年12月28日(土)~29(日)

半年振りの山行です。ブランクが空いたため、どれだけ自分の体力が落ちているかわかりません。色々行きたい山はありましたが、初めて登る山では普段より辛く感じてしまうなど、正しい評価ができないと思い、何度か挑戦したことがある雲取山へ行くことにしました。週明け30日に仕事納めがあるため、土日の休みを利用した1泊2日のテント泊です。


冬の雲取山ですが、今年1月の初めに奥秩父主脈を歩いた際に山頂を踏みました。その時は縦走の後半でしたが、三条ダルミからの登りがきつかった事、水を作るための綺麗な雪を確保することが難しかった事を覚えています。今回は鴨沢から登り尾根を登るルートをとる事にしました。このルートは昨年の6月以来3度目の挑戦ですが、冬に登るのは初めてです。積雪は山頂で50cm程度との情報でしたので昨年より多いかもしれません。


前日まで仕事が忙しく、出発当日も朝一番で出かけることができなかったため、鴨沢到着は15時でした。バス停で準備をしている際に、誤ってトレッキングポールのスノーバスケットの一つを奥多摩湖に落としてしまいました。湖畔に下りて探しましたが見つけることはできず・・・。FIZANのスノーバスケットなのですが非常に残念です。


さて気を取り直して出発です。テント泊装備で荷物の総重量は約20kg、半年振りという事もあり、思うようにペースが上がりません。無駄に力が入ってしまうためか、結構汗をかいてしまいました。そしていつも以上に疲れを感じて、何度も立ち止まりました。

マムシ岩についた辺りで完全に暗くなりましたが、雪道ですのでヘッドライトを付けて歩く分にはそれほど暗さを感じません。疲れで足が上がらなくなってきたので、七ツ石小屋、七ツ石山は巻いて、ブナ坂方面へ急ぎました。七ツ石山山頂は好きなので寄りたかったのですが・・・。


ブナ坂からは積雪の量が増えてきました。しかし雪は踏み固められていたため歩きやすかったです。稜線に出ると風が強くなってきましたので上だけシェルを着ました。

19時に奥多摩小屋に到着して、テントの受付を済ませた時、小屋の中の温度計がマイナス5度、小屋の外の温度計がマイナス10度でした。空に雲は殆ど無く、満点の星空や街の灯りが綺麗に見えました。風が強くなってきたので、立ち止まっているとかなり寒いです。


青梅駅にて。バックは45リッターの限界を超えている大きさ。


雨蓋を開けたところ。10リッター分くらい飛び出しています。
※この写真を撮った直後、湖にスノーバスケットを落としてしまいます。


鴨沢のバス停から湖畔に下りて、落し物を探しているところ。


登山道の入り口。ここからアイゼンをつけて登ります。


最初は土の道と雪が交互に出てきます。


堂所を過ぎたあたり。日没を迎えます。


ブナ坂の積雪はこんな感じです。

風が吹く中でテントの設営をしました。テントと言ってもアライテントのライズ1という自立式のシェルターですので、設営にそれほど苦労はしませんでした。しかし設営の間、結構体が冷えたのと、翌朝テントをたたむ時に気付いたのですが、ポールが曲がっていたので、それなりに強い風が吹いていたのだと思います。


寝具ですが、モンベルのU.L.スパイラルダウンハガーの#3とサーマルシーツを2枚重ねて、さらにゴアテックスのシュラフカバーを使用しました。マットはサーマレストのリッジレスト(レギュラーサイズ)1枚のみですが、他にダウンのインナーパンツとダウンソックス、パタゴニアのハイロフトダウンセーターを着用して寝袋に入ったので、ダウンの総量は多く、寒さをしのぐには十分でした。夜中のテント内の気温はマイナス10度を下回っていたと思います。


今回携行したストーブは、このブログでも何度かご紹介している中国製のガソリンストーブ(BL100-T4)を持っていきました。しかし外は強風ですし、テント内で使うにも安全に着火する自信がありませんでしたので、夜は調理をあきらめ、携行食のみの簡単な食事を済ませて寝ました。


明け方、風が弱まっている時にテントの出入り口の前で調理をしました。ストームクッカーにアダプタを介してBL100-T4をセットしましたが、寒さの中でも問題無く使用できました。ガソリンストーブは、着火と消化を繰り返すことができないので、一度火をつけたらしばらくつけっぱなしにしておきます。その間、お湯を絶やすことなく作るのですが、ケトルが便利でした。アルファ米の袋に湯を注ぐ場合や、マグカップに湯を注ぐ場合、余ったお湯を水筒に移す場合など、注ぎやすいためです。


BL100-T4をストームクッカーに装着して調理しているところ。

日の出前、食事を済ませ、テントを撤収し、スノーシューをはいて出発しました。スノーシューはMSRのEVO TOURです。ペースがなかなか上がらず、山頂に着く前に日が出てしまいました。山頂では荷物を下ろさずに何枚か写真を撮るなどして短い時間を過ごし、すぐに下山を開始しました。


下山は小雲取山方面へ戻ってから、富田新道を使って日原方面へ進むルートをとりました。富田新道は1~2名の踏み跡がありましたが、雪が踏み固まっている感じではなく、つぼ足で歩く必要があります。私はスノーシューを履いていたのでそれほど苦もなく進むことができました。


大クビレ尾根、野陣尾根はサワラノ平(標高1,708m)まで緩やかな尾根道で、雪は膝下くらいの深さでした。サワラノ平からは一気に下る感じで、唐松谷林道と富田新道の合流地点に近づくころには雪が減り、雪質も固くなってきたため、スノーシューからアイゼンに付け替えました。沢を渡る吊り橋の辺りでは標高は1,000mを下回っていたと思います。富田新道に入ってからここまでですれ違った方は1名のみでした。


吊り橋を通過後、少し登り返したところに日原林道があります。そこからは東日原のバス停まで長い林道を歩きます。途中カモシカや、ヒメネズミでしょうか?とても小さなネズミをを見かけました。


日原林道は舗装路に出てからも凍結箇所がありました。舗装路の凍結箇所は、チェーンスパイクか、簡素なベルト式の滑り止めがあると安心だと思います。

結局足回りには、10本爪のスノースパイクとスノーシュー、ベルト式の滑り止めの3種を携行したのですが、それぞれ上手く使い分けることができました。

奥多摩小屋から先ではスノーシューを装着しました。

雲取山山頂の山梨百名山の標識

こちらは埼玉県の雲取山山頂標識

下山ルートは富田新道へ

富田新道のトレースはこんな感じ

サワラノ平までは緩やかな道です。

サワラノ平で誰かがビバークしたのかな?
逆ルートの場合、ここまで急登ですので大変だったのでしょう。

画面中央あたりが唐松谷林道との合流地点

もう少し下ると吊り橋があります

吊り橋から少し登り返したところに日原林道があります

日原林道でカモシカに遭いました


最後に、通ったルートのメモと地図。
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2013年12月28日(土) 晴れ
鴨沢バス停 15:10
登山道入口 15:44
堂所 16:56
マムシ岩 17:27
ブナ坂 18:25
奥多摩小屋 19:00

鴨沢~奥多摩小屋

2013年12月29日(日) 晴れ
奥多摩小屋 6:11
雲取山山頂 7:15
富田新道分岐 7:45
サワラノ平 8:51
唐松谷林道合流地点 10:06
吊橋 10:23
日原林道 10:38
ゲート 12:05
日原渓流釣場 12:34
中日原 12:52
東日原 12:59

奥多摩小屋~雲取山山頂

雲取山山頂~東日原
 



2013年11月16日土曜日

ニコンDf を触ってきました

前回に続き、カメラの事を長々書きます。

今月初めにニコンから、Df という妙なカメラの発表がありました。
11月28日に発売予定とのことですが、今日、品川で体験イベントがありましたので、触りに行ってきました。


Nikon Df

私がDfについて「妙な」と書いたのは、最初にそのカメラの仕様を見たときにちょっと戸惑ったからです。今日はそのあたりを書いておきます。

まず、Dfの特徴をざっとまとめますと下記のとおりです。

・FXフォーマット(フルサイズ)の一眼レフで、センサーはフラグシップ機D4の性能を受け継いでいる。

・D4と比べるとかなりコンパクト(FXフォーマット最小最軽量)で、価格も抑えられている(ほぼ半額)。
・ノスタルジックなデザイン。ダイヤル操作を多く採用している。

さて、私が戸惑ったのは下記の2点です。

1.非Aiレンズへの対応

2.ダイヤルレイアウト


まず最初に「1.非Aiレンズへの対応」について書きます。
非Aiレンズというのは、1977年に登場したAiレンズ以前の古いレンズの事です。


非Aiレンズ


非Aiレンズは、一部を除き、Ai化したカメラに取り付けできません。レンズ情報を伝えるカプラー(露出計連動レバー)が干渉するため、取り付けられたとしても外せなくなる可能性があります。

私が最初に手に入れたニコンの体験談ですが、中古カメラ店で手に入れたボディ(F-801S)と、非Aiのレンズ(オートニッコール50mmF2)を店を出てから装着してみたところ外せなくなり、お店に駆け込んだら、「その組み合わせで付けちゃダメだよ~」と言われて落ち込んだことがありました。(笑)


今の常識から考えると、バカよけとか、ポカよけ、フールプルーフ(fool proof)という言葉があるように、メーカー側は、装着自体を不能にする措置をとるべきなのですが、歴史の長い「不変のFマウント」には、このような落とし穴がいくつかあります。


それでもニコンは、非AiレンズをAiに改造する対応を1997年まで行ってきましたし、F3やF4というフラグシップ機には、カプラーを可倒式にして、干渉を避け、非Aiレンズを装着できるような措置を取っていました。

その後は、F5、F6のようなフラグシップ機にも可倒式カプラーは無くなってしまいましたが、サービスセンターで改造してもらうことはできたそうで、なんとか非Aiレンズを使えるような対応を続けてきたのでした。ニコンのこのような姿勢が、昔からのファンに支持されているところでもあります。


このような経緯で、ニコンは少しずつ非Aiの対応を無くしていき、デジタル時代に入ってからは完全に対応を止めたわけです。最近のレンズカタログを見ても、ボディとレンズの対応表には、非Aiという言葉すら載らなくなったのですが、ここにきてDfが非Aiに対応する…ということを聞いて、私はすごく戸惑ったのです。(大歓迎ですけど)


Dfのマウント部。時計の1時~2時の位置にあるのが露出計連動レバー。


さらに今回驚いたのは、Dfは、非Aiレンズが装着できるだけではなく、開放測光ができるということです。機械的には、絞りリングと連動していなかったり、レンズの開放F値をボディに伝えることができないため、あらかじめレンズ情報を登録したり、撮影時に選択した絞り値をサブコマンドダイヤルで設定してあげる必要がありますが、F3やF4の時よりは操作性が良くなっているはずです。(今日の体験イベントでは試すことはできませんでした。)

F3やF4で非Aiレンズを装着した時にカメラ内蔵の露出計を使う場合、絞り決定後に絞り込みレバーを押して測光を行い、シャッタースピードを決定して、絞りを開放に戻し、ピント合わせを行う…という手順が必要だったと思いますが、Dfでは絞り込みレバーを押す必要が無くなったのと、開放測光により、より正確な露出を得られるようになったはずです。(…という事だと思うのですが、間違っていたらごめんなさい)


最後に、非Aiとか言われても、何の事だかさっぱりわからないよ、というニコンユーザーもいらっしゃると思いますので、歴史あるニコンFマウントレンズを、できるだけ大雑把に分類してみます。

①非Aiレンズ(1959年~1977年)
 オートニッコール、ニューニッコール

②Aiレンズ(1977年~2001年)※現在も販売中
 Ai、Ai-S、①のAi改造レンズ、AiAF、Dレンズ…など

③Gレンズ(2001年~現在)

普通はこんなに大雑把な分類はしないと思います(笑)。②はマニュアルフォーカス(MF)からオートフォーカス(AF)へ移行する時代も含んでいますので、MF用のレンズとAF用のレンズを分けて考える方が一般的かもしれません。しかし② はAF用レンズにも、絞りリングを備えているため、MF機でも問題無く使用できます。③になってからは、絞りリングが無くなったため、MF機では絞り操作ができなくなり、事実上使用不能になりました。

そんなわけで、Dfが対応する非Aiが、相当昔のレンズだという事がおわかりいただけたと思います。

ちなみに、非AiレンズのAi改造は下記に相談してみると良いでしょう。

 フォト工房キィートス
 http://photo-kiitos.co.jp/



次に「2.ダイヤルレイアウト」について

ニコンDf のセールスポイントの一つに、ダイヤル操作がありますが、私は露出補正ダイヤルのレイアウトに疑問を感じました。

ニコンが今(Df登場前)の操作に落ち着いたのは、フイルム時代のF5(1996年)あたり、正確にはその後のF100(1998年)の頃だと思います。しかしDfは、FM2など1970年代~1980年代前半のカメラを模したためか、使い勝手の面で後退している可能性があります。

DfのISO感度設定ダイヤルは、1970年代のカメラのように、カメラ左肩にあります。そしてISO感度設定ダイヤルの同心円上に露出補正ダイヤルを配置しています。つまり両方とも左手側です。今のカメラはニコンに限らず、露出補正の操作を右手で行うようになっていると思います。Dfのように左側に配置するレイアウトは、見た目は懐かしいですが、最近のカメラに慣れた人には、使いにくいはずです。


左肩にISO感度設定ダイヤルと露出補正ダイヤルがあります。

せっかく右手側にメインコマンドダイヤルとサブコマンドダイヤルがあるのですから、自動露出の際に、右手のコマンドダイヤルでも露出補正ができれば良かったのですが・・・。

MF時代のフイルムカメラは、京セラコンタックスのように左肩にシャッターダイヤルがあったり、オリンパスOMシリーズのようにレンズマウント部にシャッターダイヤルがあったりして、レイアウトは千差万別でした。しかし現在では、各社ともに、左手はレンズを保持しながら、ピントリングやズームリングを操作する必要があるため、露出に関係する操作は右手に任せる・・・というスタイルが一般化したと思います。

つまり右手シャッター周辺に撮影時によく使う機能が集中していた方が良く、カメラ左肩には、撮影時にあまり変更しない項目のみ配置するべきだと私は考えます。露出補正は、自動露出を使う場合、頻繁に使用する機能ですので、ニコンの前例で言うならば、F4のように右側に配置した方が良かったのではないでしょうか。

なんだか最後は批判っぽくなってしまいましたが、F3のようなカメラを使う時はマニュアル露出がメインで、露出補正ダイヤルなんてあっても使わなかったわけですから、そのようなユーザーはDfでもマニュアル露出で使う分、このレイアウトに何の不満も無いはずですね。

あと、Dfのシャッターダイヤルには「1/3 STEP」という項目があり、コマンドダイヤルで1/3段ずつ細かく設定することができます。


1/3STEPという項目があるシャッターダイヤル

そんなわけで、Aiレンズを使う場合は、昔風に絞りリングとシャッターダイヤルを使い、Gレンズを使う場合は、今風にメインコマンドダイヤルとサブコマンドダイヤルを使う・・・という感じで、使い分けができることは嬉しいですね。
Dfでは、D4に採用されているような、コマンドダイヤルの向きの変更や、露出補正インジケーターの+/-の表示方向の入れ替えができるようですので、ニコン以外のユーザーでも使いやすいはずです。

最後に、今日確認してわかったことをいくつか書いておきます。

・持った感じは意外と軽かった。
・露出ダイヤルは、ロックがかかる仕様。ロック解除ボタンを押しながら回します。
・ISOダイヤルもロックがかかる仕様。ロック解除ボタンを押しながら回します。
・露出モードダイヤルもロックがかかり、引っ張り上げながら回します。
・ドライブモードは右手側にあります。(他の機種では左手側にありますが、特別な意味があるのでしょうか。)
・レリーズは、シャターボタンに機械式のものを装着可能。ボディ側面に、アクセサリーターミナルもあります。(10ピンターミナルは無いです。)
・マウント部の露出計連動レバーは可倒式。F3やF4のようにロック解除ボタンは無いですが、不自由は無さそうです。指先でパタンと倒す感じ。

・・・最初に写真で見たときは厚ぼったい印象を持ちましたが、触ってみると小さい感じがして、デザインも違和感はありませんでした。

値段は安くないですけれど、良いカメラだと思います。ニコンにはこれからも高級なカメラに注力して欲しいです。


おわり

2013年11月8日金曜日

ソニーα7(フルサイズミラーレス)について

久しぶりにカメラの事を書きます。

この秋、カメラ関連のニュースで、私が一番気になったのは、来週ソニーから発売されるα7、α7Rの事です。

35mmフルサイズセンサー搭載のミラーレス一眼で、キャッチコピーには、「誰も作らなかったカメラ。」とあります。ちなみに35mmフルサイズというのは、フイルム時代の所謂ライカ判(24mm×36mm)と同等サイズの撮像素子の事です。

私にはこの「誰も作らなかった・・・」というキャッチコピーが、キヤノンやニコンに向けられているように思いました。キヤノンやニコンは、フルサイズミラーレスを作らない…と私は考えているからです。(そのあたりは追って考察していきます。)

ソニーはこれを機に、αシリーズとNEXシリーズをαブランドに統合するそうです。一眼レフタイプのαシリーズは、ミノルタ時代を含めますと、1985年から続くAマウントを採用したシステムです。一方のNEXシリーズは、3年前に登場したばかりの、APS-Cサイズのミラーレスに付けられた名称で、専用のEマウントが用意されました。

今回のα7とα7Rは、αという名称を持ちながら、Eマウントが採用されたわけですが、レンズはフルサイズ用に仕立て直しが必要になりました。

αブランドへの統合(つまりNEX名称の消滅)後も、AマウントとEマウントを共存させるわけですが、両者にフルサイズ対応レンズと、APS-Cサイズ専用レンズの2種ずつ存在することになったため、ボディとレンズの組み合わせは今までより複雑になりました

表にまとめてみましたが、多分下記のような組み合わせで適合すると思います。



ソニーαシリーズのレンズ組み合わせ表



上記表の黄色部分は、フルサイズで撮影できる組み合わせで、橙色部分はAPS-Cサイズになる組み合わせです。

仮にソニーが今後APS-Cサイズを止めてフルサイズに統一した場合、上記表の橙色部分が消えて、「×」が一か所のみになるため、スッキリすると思うのは私だけでしょうか。

いずれにしても私の推測では、Eマウントのフルサイズミラーレスが登場したことにより、Aマウントが急速に廃れると考えています。フォーサーズ陣営が、センサーサイズを変えずにマイクロフォーサーズという新しいマウントでミラーレス化を推進した結果、ミラーありのフォーサーズマウントが衰退した事は記憶に新しいです。

現時点で、ソニーがフルサイズミラーレス一本化のシナリオを用意しているかはわかりませんが、市場の動向も含め、今後どのような展開になるか注目していきたいです。

さてフルサイズミラーレスのαですが、最上位機種のα7Rは、光学ローパスフィルターレスの約3,640万画素CMOSセンサー搭載というハイスペックなカメラになっています(α7は約2,430万画素)。ここまでくると高画素化はどこまで進むのやら…とため息が出てしまいます。紙に出力する事が最終目的でしたら1,000万画素程度でも十分役目を果たすと思うのですが、家電メーカーのソニーとしては、今後4Kテレビや8Kテレビを普及させたい思惑があるでしょうから、8Kテレビの解像度を見据えた3,000万画素クラスを一つの到達点と考えているかもしれません。

フルサイズで高画素、というだけでも十分魅力があるのですが、Eマウントなので、サードパーティー製のマウントアダプタ(※)を併用することにより、ライカのレンズや、各社一眼レフ用レンズをフルサイズで使えるはずですので、フイルム時代のレンズを持て余しているカメラファンにとっては、かなり楽しめるカメラになると思います。

(※)NEX時代のEマウント用アダプタは、フルサイズに対応していない可能性があるため、注意が必要です。


さて、ここからはαの話題から外れます。

先に書きましたが、私はキヤノンとニコンはフルサイズミラーレスを作らないと考えています。このブログを書いている間にも、ニコンがDfという妙なカメラを発表しましたが、やはりミラーレスではありませんでした。

仮にキヤノンとニコンがフルサイズミラーレスを作った場合、これから記す表のように、2社ともかなりいびつな構成になることがわかります。

まずはキヤノンでシミュレートしてみます。

キヤノンがフルサイズミラーレスを作った場合


現状のキヤノンですが、フルサイズのカメラに、APS-C用のEF-Sレンズを使用することはできません。フルサイズユーザーは下位のAPS-C用レンズを使う必要は無いという思想なのだと思います。仮にフルサイズミラーレスが登場した場合でも、APS-C用のレンズを使用不能にする可能性が高いので、上記表のように、ソニーの例よりも「×」が増えて、取り込めるユーザーが少なくなりそうです。

また、ソニーEマウントのように、既存のAPS-CサイズのEF-Mマウントをフルサイズ用に流用できるかは不明ですので、流用出来ない場合、新たにフルサイズミラーレス用のマウントを用意する事は難しいと思われます。ミラーレスの場合、フランジバックが短い専用レンズが必要でしょうから、EFマウントを採用することもあり得ないので、キヤノンからフルサイズミラーレスは出ない、というのが私の考えです。

次はニコンをシミュレートしてみます。

ニコンがフルサイズミラーレスを作った場合

ニコンの場合、フルサイズのFXフォーマットと、APS-CサイズのDXフォーマットは、マウントが共通ですので互換性があります。ただしカメラ、レンズ共にFXの組み合わせの時だけフルサイズになり、それ以外の場合はAPS-Cサイズになります。ニコンのこれらのマウントは「不変のFマウント」と呼ばれており、1959年のニコンFから同じ寸法のマウントを採用し続けています。しかし2011年に発売されたミラーレスのNikon1シリーズには、Fマウントとは別の小型マウントが用意されて、Nikon1専用のレンズをFマウントのカメラに装着出来ない仕様にしたのです。

仮にニコンがフルサイズミラーレスを作る場合、フランジバックの短い専用レンズを用意しても、Fマウントのカメラと互換性が無くなってしまうため、それらのフルサイズ用レンズに“FXフォーマット用”という名称を与えることはできません。


同様の理由で、Nikon1を作る際にAPS-Cサイズ(DXフォーマット)を採用できず、CXフォーマットという、新しいフォーマットを作ったのだと思います。APS-Cサイズを採用すれば、FマウントのDXフォーマットユーザーは混乱するため、そのような事態を回避する必要があったわけです。

そうなると、不変のFマウントを維持するために、一眼レフと同じフランジバックで、ミラーが無いだけのFXミラーレスを作れば良い。という案もあるかもしれませんが、そのようなカメラは一眼レフそのものを否定する事になりかねないので、多分作られることは無いでしょう。

そのようなカメラを作るくらいなら、往年のレンジファインダーカメラのデザインをベースにした趣味性の強いミラーレスを出した方が理にかなっていますし、喜ぶ人も多いのでは無いでしょうか。

長々と書いてきましたが、キヤノンとニコンには一眼レフで頑張ってもらうとして、今後、各社いろいろな形でフルサイズのデジカメを増やして欲しいです。そしてフルサイズのデジカメには、デジカメ黎明期の負の遺産とも言えるAPS-Cサイズを駆逐して欲しいのです。(私はAPSフイルムが嫌いだったせいもあり、APS-Cサイズのセンサーを好きになれません。)

あとパナソニックらマイクロフォーサーズ陣営が、フルサイズミラーレスの統一規格を提唱して、ソニーに対抗する…みたいな家電メーカー伝統の一戦を見てみたいです(笑)
おわり



2013年10月5日土曜日

ガソリンストーブ5(おわりに)

ガソリンストーブについて、長々と書いてきましたが、なんとなくまとめてみます。

他の方のブログなどを見ますと、火力調節ができるMSRのドラゴンフライと、オプティマスのNOVA、NOVA+の評価が高いようです。プリムスのOmni fuel、Omni Lite Tiも火力調整はできるようですが、国内正規販売が無いため、あまり情報がありません。ホワイトガソリン専用では、スノーピークのギガパワーWGストーブも火力調節が可能ですが、評価は賛否両論のようです。

火力調節に拘らなければ、MSRのウィスパーライトインターナショナルが定番中の定番だと思います。昨年あたりにモデルチェンジがあり、従来より10%も軽くなったので、魅力が増しました。

これら全ては分離型になりますが、分離型ストーブは、MSRに一日の長があるように思います。

したがって下記の4機種をおすすめしておきます。持っていませんが(笑)

・MSR Whisperlite international
・MSR Dragonfry
・Optimus No.82 Nova
・Optimus No.85 Nova+

ついでに私がガソリンストーブを手に入れたい理由を列挙しておきます。

1.燃料代を節約したい。(灯油も使いたい)
2.缶ゴミを減らしたい。(燃料はガソリンスタンドで買えた方が良い)
3.災害時の備えとして。(燃料は常備してあるものが良い)
4.大きな鍋を使いたい。(重心が低い方が良い)
5.寒い時期に使いたい。
6.ストームクッカーに装着したい。

という感じになります。

1と2の理由は、ホワイトガソリンをホームセンターなどで、1リットル缶で買うと適わないので、灯油利用にするか、ホワイトガソリンを販売しているガソリンスタンドを探す必要があります。

3の理由も考えると、家の暖房と燃料を共用できる灯油が最適ということになります。ですので、灯油利用可能なモデルに絞られます。

4と5は、安定性や火力、燃焼効率を考えると、分離型にして、風防を用意する必要があります。MSRには、ペラペラの風防が付属していますが、より安定性を求めると、ストームクッカーに装着できることも魅力になるかと思います。

ストームクッカーに装着することだけを考えれば、トランギアのMultifuel Burner X2(プリムス製、国内正規販売無し)があります。火力調整が出来ないのと、値段が高いのがネックでしょうか。

そうしますと、純正アクセサリに、ストームクッカー装着用のアダプタ(※)があるOptimus Nova(Nova+)が一番良いかもしれません。
※アダプタは別売。国内正規販売は無しです。


Optimus純正、Nova用ストームクッカー装着アダプタ

Optimus Nova欲しいな~と思い、ストームクッカー装着用のアダプタだけ英アマゾンで手に入れました。まだOptimus Novaは買っていません(笑)。

以下、アダプタを眺めているうちに、Bulin社(中国)のBL100-T4に装着してみたくなったので、試してみたら上手くいったという図です。


Bulin BL100-T4の底部の袋ナットを外し、バーナー部を取り出します。


本体に、Optimus Nova用ストームクッカー装着アダプタを
付けますが、プレヒート用の皿(写真後方)は装着できません。


BL100-T4をストームクッカーに装着。予熱管はぎりぎり干渉しません。


BL100-T4 + ストームクッカー (プレヒートの図)


上記写真の通り、Bulin BL100-T4に、Optimus Nova用ストームクッカー装着アダプタを付ける場合、底部に必要なプレヒート用の燃料皿が付けられません。しかしBL100-T4のストーブ本体(チューリップ型の部分)は多少の燃料を受け止められる形状になっているため、問題なくプレヒートできました。袋ナットの締め付けを確実にするためには、スプリングワッシャー等を挟んでおくと良いと思います。

しばらくは、この組み合わせで遊ぶことにします。


2013年9月30日月曜日

ガソリンストーブ4(プリムスについて)

ガソリンストーブの話を続けます。今回はプリムスについてです。

2013年9月現在、イワタニプリムスのホームページに掲載されているガソリンストーブは、エクスプレスVFスパイダーストーブ(P-134VF)1種のみです。

昨年くらいまでは、マルチフューエルEX(P-MF-EX)という、ガソリンや灯油などの液体燃料の他に、T型ガスカートリッジ(OD缶)も使用できるマルチフューエル(MF)タイプのモデルも取り扱っていたと思いますが、ラインナップから消えたようです。

しかし海外のプリムスのサイト< https://www.primus.se/ >を見ますと、マルチフューエルEXは健在で、他にも3種のガソリンストーブがあり、全てMFタイプのようです。

2013年9月時点で確認できたガソリンストーブは下記の4種。
・MultiFuel EX
・OmniFuel
・OmniLite Ti
・Gravity MF

上記以外にも、旧ETAシリーズには、ETA Power MFというMFのラインナップがありました(日本での取り扱いは無し)。


Primus ETA Power MF

新ETAにMFは無いようですが、海外プリムスサイトの交換アクセサリーのページをよく見てみますと、ETA Power MF Kitというマルチフューエル対応用キットがラインナップされています。

ETA Power MF Kitですが、写真を見る限りでは、燃料ボトル、ポンプ、グリス、交換用ジェット、工具、プレヒート用のパーツがセットになっているようです。Gravity MF Kitというものもあるようですが、今のところこれらのキットをAmazon.comやAmazon.co.ukで見かけたことはありません。

さて、冒頭に記した日本で取り扱いのあるP-134VFというモデルについて。

「VF」は、VariFuelの略で、ガソリンだけではなく灯油など複数の液体燃料が使えることを意味しますが、MFとは異なり、ガス(OD缶)には対応しません。VF用ポンプは型番が732240で、MF用ポンプの型番は732231で異なります。

VF用ポンプはホースをカプラーで繋ぎ、燃料調節つまみがポンプ側についています。

一方、MF用ポンプですが、ホースとの接続部分がOD缶のオスネジになっています。つまりOD缶に接続できるストーブであれば、構造上、接続できてしまいます。推測ですが、マルチフューエルEXがイワタニプリムスのラインアップから消えたのは、MF用ポンプの流用で、想定外の組み合わせに対する懸念があったからかもしれません。


プリムスの燃料ポンプ。左がVF用(732240)。右がMF用(732231)
VF用(左)はポンプ側に燃料調節つまみがついています。
MF用(右)の場合、ポンプ側につまみは無く、ホース側につきます。

MF用ポンプとホースの接続部分

P-134VFのポンプとホースの接続部分

現在イワタニプリムスでは、液体燃料専用のP-134VFの他に、ガス(OD缶)専用のP-133Sという、2種類のスパイダーストーブをラインナップしています(五徳の大きさは若干違うようです)。いずれも分離型ストーブとしては軽量なので魅力的なのですが、MFに一本化してくれたらもっと良いですよね。

ですので、P-134VFとETA Power MFのストーブをニコイチにして、P-134MF(勝手に命名)にしてみました。

P-134VFにETA Power MFのホースとポンプをつけてMF化したところ。

MF仕様に改造したとしても、ガソリンと灯油、OD缶を使い分けるためには、ジェットの交換をしなくてはいけないので、それほど便利じゃないという悩ましい状況だったりします。またニコイチにしたことで、余ったETA側がVFになってしまい不憫です(笑)

ETA Power MFですが、以前は円高の影響などで安く手に入りましたが、最近は流通量が減ってきており、オークションに出たとしても値段が高めなので、部品取り用として気軽に使えるものではないです。おとなしくニコイチは諦めて、国内流通のP-134VFとP-133Sの両方を買って、状況に応じて使いわけた方が良いのでは?という思いに至ったりします(笑)

これまで書いてきたように、プリムスのETA用ストーブとスパイダーストーブは共通部分が多いです。あとJETBOIL社のヘリオスにも同じストーブが使われているようです。

P-134VF(左)と、ETA Power MFのストーブ部分(右)

P-134VFを分解したところ


最後に、プリムスMFポンプの流用(悪用?)について。

先に書いたとおり、MFポンプはOD缶のオスネジと同じ形状をしているので、ガス専用ストーブが接続できてしまいます。しかし通常ガス専用ストーブは、液体燃料を気化させる機構を持たないため使用できません。

一部のガスストーブには、液体燃料を気化させるための予熱管がついている場合があります。これらはOD缶の倒立利用(液出し)に対応するためのものだと思われますが、この手のタイプであれば、ガソリンの気化も可能かもしれません。ただし予熱管のプレヒートをどうするか、という問題があります。ガス専用ストーブには、液体燃料でプレヒートするための燃料の受け皿が備わっていないためです。

それでもテストをしてみました。

中国製ガスストーブ(Bulin社製)をストームクッカーにセットして、プリムスのMF用ポンプを付けて、予熱管周辺をアルコールで無理やりプレヒートした後に、ホワイトガソリンの点火を試みました。

プレヒートまでは良かったですが・・・

結果は、プレヒートが足りないのか、ジェットのサイズが大きいなどで、ガソリンが出すぎているのか、大きな火柱が立ちました。何度か試しましたが同じ結果で、夕刻に家のベランダでテストしていたこともあり、近所から火事と思われるのも困るため、本燃焼に漕ぎつけずに中止しました。(いつでも消火できる体制でテストしましたが、危ないのでくれぐれも真似をしないようにお願いします。)


2013年9月4日水曜日

ガソリンストーブ3(コールマンの小型ストーブについて)

今回はコールマンのガソリン式小型ストーブ(ワンバーナー)について書きます。

コールマンは、20世紀初頭に創業したアメリカのアウトドア用品メーカーで、創業当初はガソリン式ランプの販売がメインだったようです。ちょうど電灯が普及していった時代だと思いますが、ガソリン式ランプは、屋外作業用の灯りとして、または停電時の備えとして需要があったようです。

1920年代になると、自動車が普及してきて、オートキャンプがブームになり、現在のツーバーナーの原型となるキャンプストーブが作られたようです。

1940年代には、GIポケットストーブという軍事用ガソリン式ストーブの製造を手掛けるようになり、一部民生用も販売されましたが、今のようなアウトドア用品メーカーに転身するのは、もう少し後の1950年代後半になってからでした。

1960年代に入り、スポーツスターという愛称のワンバーナーが登場しました。現在では後継のスポーツスターⅡ(508A)というモデルが販売されています。

1970年代半ばには、スポーツスターより小型のワンバーナーが作られるようになり、EASI-LITEストーブとか、ピーク1ストーブ、フェザーストーブという愛称が付けられています。これらの系統では、442-726J(フェザーストーブ)というモデルが現行機種として残っており、80年代のピーク1ストーブを彷彿させるような形状をしています。


現行のコールマンフェザーストーブ(442-726J)
コールマンはプレヒートは不要で扱いやすいです。
左が1984年製のピーク1ストーブ(400A701)
右が現行のフェザーストーブ(442-726J)

現行のフェザーストーブと、80年代のピーク1ストーブは使用部品も似通っていますが、大きな違いは燃料調整レバーの数です。現行が1レバータイプ、80年代のものが2レバータイプとなっており、後者は細かい火力調整が可能という事で、現行のフェザーストーブを2レバータイプに改造する方が後を絶たないようです(笑)


具体的には形状の違うジェネレーターを付けるために、ジェネレーターを曲げたり、ブラケットを自作したり、バーナーボックスをヤスリで削ったりするようです。

それでは2者のバーナーボックス部分の違いを見てみましょう。


現行のフェザーストーブ(442-726J)のバーナーボックス部分を分解したところ。

ピーク1ストーブ(400A701)のバーナーボックス部分を分解したところ。

バーナー部で形状が異なる部品は3点。上が442-726J、下が400A701

私も改造を試してみましたが、ジェネレーターの曲げが浅かったのか、締めつけた際に、ジェネレーターのテーパー部分を潰してしまいました。


出来心でちょっと試しただけなのにジェネレーター破損(!)

2レバータイプのジェネレーターは消耗品と言えども3,500円前後と高いので、わざわざ改造するよりは、2レバータイプの昔のピーク1ストーブをオークションで安く手に入れた方が早い気がしました。今回出来心でジェネレーターを破損させてしまい、手痛い損失になってしまいました。

ちなみにコールマンのパーツですが、名称や型番が同じでも形状が違ったり、形状が同じでも型番が違ったり…という事があるようです。今回比較した2者のパーツリストも載せておきます。

例えばバーナーボックスは型番が同じですが、先に載せた写真の通り、形状は異なります。

442-726Jのパーツリスト
400A701のパーツリスト


最後に…
フェザーストーブは、わざわざ改造をしなくても魅力あるストーブだと思います(笑)。ガソリン式タンク一体型の小型ストーブというカテゴリでは、オプティマス123Rスベアとともに、貴重な存在になりつつあります。

タンク一体型小型ストーブの宿命としては、燃料タンクの容量に限りがあるため、状況によって燃料ボトルを別途用意したり、燃料を移し替えるための漏斗(ろうと、じょうご)が必要になります。結局、装備全体としては小型・軽量にはならないため、登山でこのストーブが選ばれる事はあまり無いようです。

それでも比較的安価ですし、プレヒートが不要で扱いやすい品ですので、ガソリンストーブの入門機として最適ではないでしょうか。ガソリンストーブは寒さに強いので、秋~冬のバイクツーリングに向いていると思います。冬にツーリングなんて行かないよと言われてしまいそうですが(笑)


2013年8月20日火曜日

ガソリンストーブ2(中国製、BL100-T4のレポート)

中国のBulin(歩林)というメーカーのガソリンストーブ、BL100-T4を手に入れましたのでレポートします。

※以前、下記リンクにてBulin版ストームクッカー、BL100-Q1のレポートも書きましたので、あわせてご覧ください。


BL100-T4は、分離型でマルチフューエル対応、ガスカートリッジ(OD缶)も使用可能なモデルです。

Amazon.co.jpで購入。価格は2013年8月19日時点で5,980円でした。



他のメーカーのもので、マルチフューエル対応且つガスカートリッジまで使えるものは、プリムスのMultiFuel EX、OmniFuel、OmniLite Ti、MSRのWhisperlite universal、トランギアのMultifuel Burner X2(プリムス製)があります。いずれも現在、日本国内では正規取り扱いがありません。

(これらのストーブが日本国内で販売されない理由はわかりませんが、事故が発生しやすいなどのリスクがあるかもしれません。取り扱いは自己責任でお願いいたします。)



BL100-T4

箱を開けるとこんな感じ

ボトルキャップやガス(OD缶)用アダプタ、Oリングなどの交換用部品とメンテナンスツールが付属。丸いメッシュの部品は何に使うのか不明です。


燃料ボトルは付属のものを使用した方が良いと思います。MSRの燃料ボトルで試しましたが、ネジピッチは同じように見えますが、ねじ山の深さとか、ねじ部分の長さ、テーパーが微妙に違っていたりして、締め付けの際の抵抗が違いましたので多分合わないのだと思います。

付属されている交換用ジェットですが、「35」という数字が刻印されています。おそらく0.35mmということでしょう。てっきりガソリン用と灯油用の2種類が用意されているのかと思いましたが、本体に装着済みのものも「35」でしたので全く同じもののようです。あくまでも消耗品として、付属してくれているのでしょうか?そうだとしたら親切ですね。(部品単体の購入は難しそうですし...)

メンテナンスツールの見た目はプリムスのものに似ています(サイズは違うかも)。ボックスレンチが8mmでジェット交換用、それ以外に10mmと8mmのスパナ、クリーニング用のニードルがついています。ちなみに本体底の六角袋ナットが10mm、ホースの継ぎ手部分が8mmです。

ポンプとホース、あるいはガス用アダプタとホースを繋ぐ際に、ホースの継ぎ手をこのツールか8mmのスパナで締め付ける必要があるため、常にいずれかを携行しておく必要があります。

(分離型ストーブは燃料漏れの事故が怖いので、継ぎ手の締めつけや、Oリングの破損有無の確認を怠らないようにしたいです。)

燃料は、ガス(OD缶)、ホワイトガソリン、灯油が問題無く使えることを確認しました。灯油はプレヒート時に煤が付きやすいですが、出力が上がってくると、完全燃焼してくれました。

いずれの燃料でも燃焼音は轟音でした。iPhoneアプリの騒音計で間近で測ったら92dBでした。燃焼前の音(屋外)が60dBくらい。同条件でコールマンのフェザーストーブを燃焼させた時の音が74dB程度でしたので、比べるとかなり大きな音だということがわかります。


灯油を使っているところ

灯油を使った後。結構煤が付きます。


重さは実測で、本体+ホースが336g、ポンプが98g、燃料ボトル(フタ無し)
112g、フタ13g、メンテナンスツール43g、ガスアダプタ33g
収納袋50g、Oリング等の予備部品が10gです。

五徳の雰囲気は、オプティマスNovaみたいですが、ストーブ全体のサイズはNovaよりも一回り大きいと思います。

五徳にはなんとかシェラカップが乗ります。

収納袋に入れない状態では、エバニューチタンクッカー深型にぎりぎり収まります。

付属の収納袋に入れる場合は、エバニューチタンクッカー深型Lくらいの大きさが必要です。


ヒートパイプが太めで、バーナーのほぼ真上を横切っています。プレヒート時に燃料バルブを開きますが、ヒートパイプの取り回しの関係か、燃料が染み出てくるまで、ややタイムラグがあるような気がします。プレヒート時には、燃料を出し過ぎないように注意する必要があります。(ノズル部分から燃料が染み出てくるのを良く確認しながら作業した方が良いです。)

ポンピングは燃料を規定量まで入れた状態で、30回以上行った方が良いと思います。

説明書では、常温時のプレヒートがガソリンで3~4分、0℃以下の場合は6~8分、灯油はプラス2分必要と書いてあります。

説明書は中国語しかありません。メーカーHPからダウンロードできるわけでも無いようですので、下記に説明書の画像と中国語の本文をOCRで抜き取ったものを掲載しておきます(正確では無いかもしれません)。翻訳ソフトなど使う際に参考にしていただければと思います。



①油炉分解图
1、下喷盘
2、预热管组件
3、钢丝绳
4、三通螺母
5、吸油棉
6、铆钉
7、分火盘
8、喷嘴
9、通针
10、喷头螺母
11、开关
12、支撑架
13、外壳
14、圆头小螺母

②操作图
图1 灌燃料瓶ー灌到燃料线处为止
图2 连接油泵,不要强拧,避免损坏油泵螺纹。
图3 注意油泵摆放方向。
打开油泵开关,燃料流到喷盘大约5mI,
注意预热油不要放太多,看见吸油棉有潮湿
的感觉即可。温度在5℃以下时,加倍放油(10-15ml)
重要!检查燃料渗漏。如果无渗漏,点燃油炉。
图4 待火焰快要燃尽,再打开油炉开关。如火源已灭,请重新点燃。
常温预热3-4分钟,0℃以下预热时间6-8分钟;煤油预热时间增
加约2分钟。

③操作图
图5 从油泵上旋出软管接头。
注意:请关闭油泵开关!
图6 连接阀门。
图7 连接气罐使用。使用气罐时,
为方便点火,放备用的小网片在分火盘上,待点燃后倒掉网片即可

④操作图
燃料选择:
推荐使用80%无味煤油+20%无铅汽油,可选
无味煤油,无铅汽油。追求最佳燃烧效率,以防止炭化堵塞油路,每750mI油品中可加入
5ml海龙燃油宝(约一瓶盖)。
图8 重要! 确保油泵和燃料瓶在挡风板之外。

⑤燃料的使用
燃料数据:
BL100-T4可以燃烧多种燃料。
建议使用无色汽油,它是此炉具最高质量的燃料,但无色汽油不易
购买。高质量的白油(无铅汽油)能燃烧干净,但在燃料管线及喷嘴中留
有少量的残渣,须经常清洗。无铅的车用汽油,易挥发,并含有添加剂,
比起白油(无铅汽油),在燃料管线及喷嘴中留下的残渣会较多,须更经
常清洗。如不在低温和高海拔处,标准气罐是此炉具的理想燃料。使用
非常方便,环保清洁无烟,而且几乎不需要维护和清理,柴油燃烧起来会产生大量的烟灰,易损坏炉具,不推荐使用。
燃料选择:
推荐使用80%无味煤油+20%无铅汽油,可选无味煤油,无
铅汽油。追求最佳燃烧效率,以防止炭化堵塞油路,每750
mI油品中可加入5ml海龙燃油宝(约一瓶盖)。
把油泵插入燃料瓶:
1
重要!密封圈对于炉具安全操作尤为关键。
在使用炉具前,要确保密封圈情况良好,没有损伤和磨损。
2
逆时针方向拧开燃料瓶盖,拔掉盖子,装上燃料。
重要!不要超过燃料瓶所标的燃料上线,见图1
3
把油泵拧进燃料瓶时,不要强拧,避免损坏油泵螺纹。
4
紧闭油泵控制阀门手柄。
5
抽吸柱塞15-20下,注:如果燃料瓶不满,需要多抽吸几下。例
如:半满时,大约需要40-55下。一般情况下,只需抽吸到有很大
的阻力为止。
6
重要!一定要经常检查燃料渗漏情况,检查密封圈附近的渗漏情况
包括油泵密封圈、燃料管的密封圈、控制阀周围以及抽吸柱塞。如
果发现渗漏,请一定不要使用。参看"故障排除"或送到BULIN经
销商处。

⑥炉具的操作
炉具的操作
预热炉具
炉具必须预热以便正确操作。未充分预热可能会引起操作困难。
1、旋上油泵,打开开关,燃料流到喷盘大约5mI。
2、关闭开关
3、重要!检查燃料渗漏。仔细判断燃料瓶、油泵、燃料管线的渗漏情
况。如果发现渗漏,请不要使用,见故障排除。
4、如果无渗漏,点燃炉具。
5、在炉具周围放一个挡风板。(见图8)
重要!确保油泵和燃料瓶在挡风板之外。


⑦炉具的操作
打开炉具:
1、当已经有小小的火焰时,慢慢打开开关。让预热管有效加热使所有
流向喷嘴的燃料气化。
重要:
■ 如果炉具火熄灭了,请关闭开关,等待炉具冷却。
重复以上的预
热步骤。见”预热炉具”。
■ 如果炉具的火焰不稳并带黄色,请关闭开关,让炉具继续预热直
到点燃小小的火焰。见,”打开炉具”。
■ 如果炉具时断时续地冒出黄色和蓝色的火焰,把开关关小一些直
到炉具出现稳定的蓝光。
2、炉具在使用时,定时抽吸柱塞3-5下,以保持燃料瓶的压力。
燃料瓶最佳压力的建议
较高的燃料瓶压力能增加热量输出并加快沸腾。
较低的燃料瓶压力能减少热量输出并慢慢煮沸。
关闭炉具、拆卸和搬运:
1、关紧开关,由于燃料管线里面有残留的燃料,火焰会继续燃烧
大约1-2分钟。在拆卸前,要等炉具冷却。
2、在火焰熄灭,炉具冷却后,旋开油泵接头。
3、收起炉头支撑架。
4、燃烧时,油泵连接部分朝下,为达到减压效果,将油瓶倒转,让吸油管朝
上,浸不到油。火焰过1-2分钟后慢慢烧尽,再过1-2分钟,
重要!直到听不到出气声再关闭开关。
5、要搬运或贮存燃料瓶,油泵可以留在燃料瓶内。油泵也可以拿掉和燃料
瓶盖放在一起。


⑧炉具的维修保养
喷嘴和燃料管线上的残渣会减少燃料的流出并损害炉具的功能。
喷嘴上的小残渣通常可以用振荡针清理。
更大范围的残渣就需要对喷嘴或燃料管线进行彻底的清理。
快速清理喷嘴
1、关紧控制阀让炉具冷却。
2、上下摇晃炉具,听见“咔嗒、咔嗒(カタカタ)”声说明振荡针正在起作用。
3、重新打开炉具,如果没什么改变,请参看“喷嘴和燃料管线的彻底
清理”
喷嘴和燃料管线的彻底清理
1、折开分火盘。
2、用工具拧下喷嘴。见图8,重要!拧开喷嘴时,不要使预热管弯曲。
3、取下振荡针,用它从上到下清理喷嘴口。
4、用工具拧开三通螺母。见图9。
注:如果不能取下钢丝绳,在燃料管线的肘管里面喷一些普通润滑油,
在取之前,让它浸泡大约15分钟。
5、重新插入钢丝绳。使用短冲程,把钢丝绳在燃料管线里来回推动大约20次。
6、取下钢丝绳、喷嘴和振荡针,把燃料管线的末端插入油泵和燃料瓶。
7、给燃料瓶加压10-15下。
8、完全打开开关,通过燃料管线灌注20-30mI的燃料流到喷盘。
警告;
当冲洗燃料管线时,要远离热源、火花和火焰。冲洗完毕后妥善处理燃料。
10、重新安装炉具。如果炉具的性能仍未改善,请重复步骤4-8。


操作图
图8 
拆开分火盘,用工具拧下喷嘴(逆时针方向),
取出振荡针,用它从下到上清理喷嘴口。


操作图
图9
拧开三通螺母,(逆时针方向)取出钢丝绳。



安全须知
一定要当心!使用本产品有一定的危险,一定要知道这些危险!
为了避免人身伤害,在使用本炉具前,请阅读理解并遵守此说明书中的所有说明和警告。
燃料渗漏是很严重的火灾隐患,会造成严重的伤害,甚至威胁生命!


安全须知:
1.禁止在室内,帐篷内,交通工具或其他封闭区域内点燃或使用。
火焰或一氧化碳中毒可能引起伤害或死亡。
2.把燃料放在燃料瓶里,每次使用前都要检查连接部件密封圈与油泵密封圈,如有
破损,应及时更换。密封圈破损或磨损会导致燃料渗漏。
3.点燃炉具前,再次检查燃料是否溢出或渗漏。如果发现燃料溢出,请把炉具移
到别处。如果发现燃料渗漏,炉具配件可能破裂。请修理或送回到BULIN经销商
处修理。修理或维修后的炉具一定要重新检查燃料是否渗漏。
注意:当气温在零下24℃以下时,密封圈可能变硬和破裂,导致燃料渗漏。
4.只能配BULIN燃料瓶使用。非BULIN燃料瓶将不适合于BULIN泵,导致泵燃料渗漏。
5.点燃或燃烧过程中,严禁将头部或身体置于炉具上方。使衣物或其它易燃材料
远离炉具。
6.当炉具已经点燃或靠近任何火源时,请不要松开制动杆或拆卸炉具、油泵或燃
料瓶。否则会导致燃料渗漏。
7.请不要让锅具干烧。
8.禁止将过重或过大的锅具放置在炉具上。本炉具的最大承重为10kg,最大炊
具直径为26cm。
9.对于正在燃烧的炉具或仍有热度的炉具必须有人看管,未成年人严禁使用。
10.禁止以本规程所未描述的其它方式使用本炉具。禁止对炉具进行更改或使用
非原配件,禁止对本规程示涉及的部件进行拆卸。


油泵操作
油泵维修保养:
见油泵分解图确认油泵部件
警告;
一定要检查燃料渗漏,尤其是在炉具或油泵维修以及更换密封圈后,
检查附近的渗漏,包括油泵密封圈、燃料管线的连接、开关周围和泵
体内(倒放可看到是否渗漏)。如发现燃料渗漏,请马上修理,如维
修不了,请送回到购买步林经销处。
检查和更换密封圈、燃料管密封圈、开关密封圈:
1、用工具松开防松铜螺母。(图28)
2、松开并取下开关。(图27)
3、检查,如有磨损请更换密封圈。
油泵密封圈:
1、油泵密封圈(图30)包围着泵体。
2、取下油泵密封圈。
3、如有磨损,请更换油泵密封圈,确保油泵密封圈放入泵体
凹槽上。


润滑活塞环○型圈:
1、逆时针方向旋开打气筒盖。
(图21)
2、拉出活塞。(图26)
3、把润滑油涂在活塞○型圈。(图25)
4、重新插入,顺时针方向把气筒盖旋进泵体。
软管接头○型圈:
1、用工具松开防松铜螺母。
2、松开并取下接头。(图39)
3、检查,如有磨损请更换密封圈。

故障排除
清理止回阀:
如果炉具不能保持压力,那么可能是止回阀不能起作用。
1、逆时针方向转动止回阀,取下止回阀组件。
2、从封密封圈和空腔处检查有无残渣。
3、重新插入止回阀组件。


故障排除:
问题:
燃料渗漏
在油泵和燃料瓶的连接处
在油泵密封圈和燃料管线的连接处
在开关上
在油泵柱塞室里


原因:
油泵密封圈损坏或缺失
燃料管密封圈损坏或缺失
开关密封圈损坏或缺失
止回阀阻塞


解决方法:
更换油泵密封圈
更换燃料管密封圈
更换开关密封圈
清理止回阀空腔


性能不良
不稳定的黄色火焰
油泵不能使燃料瓶增压
柱塞很难抽吸
火焰暗淡
沸腾缓慢
外焰暗淡


原因:
预热不当或压力不够
泵杯干燥
泵杯干燥
燃料瓶压力过低
喷嘴或燃料管线阻塞
空气流动不足


解决方法:
重新预热炉具或加压
润滑泵杯
润滑泵杯
抽吸柱塞
清理喷嘴或燃料管线
稍稍打开挡风板

品质保证
BULlN炉具有限质保期为3年,
如果本产品在使用期限内出现故障,
请联系购买处的BULlN经销商。
BULlN将免费预以修理或更换。
但由于使用不当,
擅自进行产品改造所造成事故与质量问题的修理不在本担保协议范围之内,
但应客户的要求,我们可以对这些故障予以修理,但需收取适当的费用。
本保证仅适用于原始购买用户,且需要有购买凭证。